メニューの価格設定ってどうすれば良いの?適正な計算方法をお伝えします!

飲食店経営

飲食店経営者にとって、価格設定は成功のカギを握る要素の一つです。しかし、この価格設定の背後には、仕入れ価格、人件費、場所代、近隣の競合店舗との価格競争など、多くの要素が影響しています。今回のブログ記事では、これらの要素を総合的に考慮した価格設定の仕方と具体的な試算方法をご紹介します。

基礎知識: なぜ価格設定は重要か

飲食店経営における価格設定は、単に商品を売る価格を決める以上の重要な要素です。その価格が飲食店の運営に与える影響は大きく、経営の成功を大きく左右する要素の一つと言えます。

まず、価格設定は利益を生む基盤です。飲食店の主要な収益は、商品を販売することから来ます。その価格がコストを上回れば利益が出ますが、逆にコストが価格を上回れば赤字です。よって、仕入れから人件費、その他経営にかかる多くの費用を考慮して、適切な価格を設定する必要があります。

次に、価格は顧客の心理にも影響を与えます。高すぎる価格は顧客を遠ざけ、安すぎる価格は利益が出なくなる可能性があります。また、価格は店のブランドやイメージに直結するため、ターゲットとする顧客層に適した価格設定が必要です。

さらに、近隣の競合店や業界全体の価格帯との比較も重要です。他店と同等の商品やサービスを高い価格で提供していると、顧客は他店に流れる可能性が高くなります。逆に、価格が低すぎると品質が疑われる場合もあります。

最後に、価格設定は長期的な経営戦略とも密接に関連します。短期的にはセールやキャンペーンで価格を下げることで集客は可能ですが、長期的にはそのような戦略が持続可能かどうか、計画的に考慮する必要があります。

以上のように、飲食店の価格設定は多くの要素に影響を与え、その重要性は極めて高いと言えるでしょう。適切な価格設定によって、利益、顧客満足度、ブランドイメージ、競争力、長期的な経営安定性など、多面的に成功を収めることが可能です。

仕入れ価格の影響と変動の考慮の必要性と具体的対応

仕入れ価格は価格設定の基盤となる非常に重要な要素です。特に、季節や供給状況によって仕入れ価格が変動する場合、その影響を受けずに安定した経営をするためには、価格設定にこれを反映させる必要があります。

必要性

  1. 利益確保:
    仕入れ価格が上昇した場合、そのままの販売価格では利益が減少します。逆に、仕入れ価格が下がった場合は、その分価格を下げて集客力を上げるまたはそのまま利益を増やす選択ができます。
  2. 顧客の信頼:
    食材の価格が変動しても、価格を一定に保つことで、顧客からの信頼を勝ち取ることができます。
  3. 競争力:
    近隣店舗と比較して、より効率的な価格設定ができれば、競争力が向上します。

具体的な対応方法

  1. マージン設定:
    原価率(仕入れ価格/販売価格)を一定に保つことで、仕入れ価格が変動しても適切な販売価格が設定できます。
  2. 調整頻度:
    価格を常に見直すことはリソースを消費しますが、一定の期間ごと(例:毎月、毎四半期)に見直すようにすると効率的です。
  3. プロモーション活用:
    仕入れ価格が低くなった時には、タイムセールや特別メニューなどでその利点を活用することができます。
  4. 変動費と固定費の組み合わせ:
    全ての食材や商品が同じ程度に価格変動するわけではありません。安定した仕入れ価格の食材と変動する食材を組み合わせることで、全体の価格設定をバランス良くする方法もあります。

人件費、家賃やその他諸経費の価格転嫁について

飲食店の価格設定には多くの要素が影響を与えますが、特に人件費、場所代(家賃)、および諸経費(光熱費、広告費など)は重要な要素です。

人件費の反映

  1. 平均労働時間:
    営業時間内に何人のスタッフが働くのか、それぞれの労働時間を計算し、全体の人件費を出します。
  2. 効率化:
    モバイルオーダーシステムなどの導入で効率化が可能な場合、その分人件費が削減できる可能性があります。

場所代(家賃)の反映

  1. 家賃負担:
    月々の家賃を日数、さらに営業時間に換算して、1時間あたりの場所代を計算します。
  2. 集客力:
    高い家賃でも場所が良ければ集客力が高く、その分高めの価格設定も許容されることが多いです。
  3. リーチ:
    店舗の場所によっては、テイクアウトやデリバリーが盛んな場合もあり、それを考慮に入れた価格設定が可能です。

諸経費の反映

  1. 項目ごとの分析:
    光熱費、広告費、備品代など、項目ごとに月々のコストを算出します。
  2. 総計:
    諸経費の総計を日数や営業時間、さらには予想売上で割って、販売価格に反映させます。

具体的な試算方法

上記を踏まえて具体的な計算方法を設定してみようと思います。

ステップ1: 原材料費(仕入れ価格)の計算

野菜50円
150円
調味料20円
合計250円

ステップ2: 人件費の計算

1品作成あたりの平均的な人件費を計算します。

  • スタッフ1人当たりの時給: 1,000円
  • 1品作成に要する時間: 5分(0.0833時間)
  • 人件費: 1,000円 × 0.0833 = 83.3円

ステップ3: 場所代(家賃)と諸経費の計算

これらも1品作成に要する平均費用を算出します。

  • 日々の家賃費用: 10,000円
  • 1日の総注文数: 100
  • 1品あたりの家賃: 10,000円 ÷ 100 = 100円

※諸経費(光熱費、広告費など)も同様に計算。

ステップ4: 総費用と利益の加算

ステップ1〜3の総額に目標とする利益を加算します。

原材料費220円
人件費83円
場所代・諸経費100円
目標利益150円
設定価格(上記合算)553円(端数切上で560円)

このように単一の商品だけに焦点をあてた場合はその商品を維持、提供するためのコストと利益価格の設定をすることで適正な価格設定ができます。

ただし、実際に運用を始めるとロスの管理などの経費も生まれてくるので定期的に適正な価格かの検討は必要だと考えられます。
また、複数の注文が見込めるような店舗などにとっては上記を計算した上で客単価を踏まえて集客のための価格調整を実施することも有効なプロモーションになるでしょう。

まとめ:

飲食店メニューの価格設定、成功のカギは緻密な計画と柔軟性

飲食店の経営において、価格設定は極めて重要な要素の一つです。販売価格は単に利益を生む手段であるだけでなく、店舗のブランド、顧客の満足度、さらにはリピート率にも大きな影響を与えます。本記事で紹介したような試算方法—原材料費、人件費、場所代と諸経費を考慮した上での計算—は、価格設定の基本的なステップです。

しかし、これだけでは十分ではありません。季節や市場状況による原材料の価格変動、人件費の上昇、競合他店との価格競争など、多くの外部要因が価格に影響を及ぼします。したがって、定期的な見直しと柔軟な対応が必要です。

最後に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用して、費用計算や顧客の購買データ分析をより高度に行えるツールを導入することも考慮に入れましょう。モバイルオーダーシステムなどを活用すれば、オペレーション効率が上がり、人件費削減にも繋がる場合があります。

価格設定は単なる「数値」以上のものです。それは店舗の価値を形作り、成功への道を切り開くカギとなる要素なのです。

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